ある大手自動車メーカーの営業企画部課長「山田平太郎」は、部下から信頼が厚い人物です、「何事にも失敗を恐れず考えて挑戦しろ、失敗は人を成長させる、」が口癖です。その部下の、「大内君」は、とても謙虚で爽やかな若者です、ただいま「大内君」に、グローバル時代に相応しいエリート教育中です。

AMRI研究員の経済解説

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山田課長
大内君は海外旅行で好きなところは?
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大内君
あまり長い休みがとれませんので、「グァム」と「サイパン」で、ゆっくりするのがいいです。近くて英語会話の勉強にもなります。
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大内君
しかし、最近は浅草に行っても、銀座の「三越」や「松屋」に行っても、外国人旅行者が目立ちます。また、人気は「渋谷のスクランブル交差点」だそうです。向かいの「スターバックスコーヒー」の2階から写真を撮るのが「トレンディー(trendy)」だとか、「築地」で「卵焼き」を食べるとか、「築地本願寺」とか、日本人も知らない場所と食べ物が人気だそうです。なかには、「包丁」が人気だとか。
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山田課長
そうなのだ、よく知っているね。ところで外国からの旅行は、「インバウンドツーリズム(Inbound Tourism)」というようだ、2015年の外国人旅行者数は、1973万人と発表されていた。政府は、2020年に2000万人という目標を掲げていた。その訪日旅行客が使った「インバウンド消費」は、過去最高の3兆円と発表されていたよ。トップは、中国から500万人、つぎに韓国から400万人、台湾が367万人、香港から152万人とアジアからの旅行者が凄いね。いままで人気スポットは、東京・京都・大阪で、これをゴールデンルート呼ぶそうだけど、最近は、渋谷や築地にも広がったのだね。。
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大内君
なんで急に増えたのでしょうか?
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山田課長
大きな理由としては、訪日ビザ緩和があったようだ、そして、アジア地域の所得水準が高くなったことだよね。また格安航空会社の便数が増えて安価に旅行できるようになったこともあるよ。振り返ってみれば、日本人も最初は近くの韓国や香港旅行から始まったからね。
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大内君
日本経済にとってはありがたいですね。
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山田課長
日本にとっては、少子高齢化に伴う人口減少で、デパートは生き残りに懸命だったけど、「カムバック」したようだ。もはや訪日外国人の消費を頼らざるを得ない状況となった。新聞では、「2015年の旅行収支、爆買いで黒字1兆円台」とあったよ。貿易赤字を相殺する柱として期待されているようだ。
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大内君
昔のように貿易で稼げたらいいですね。
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山田課長
そうだね。日本経済の決算書が経常収支だ。日本と海外との取引状況を表す貿易収支に、所得収支、サービス収支、経常移転収支を合わせたものだ。所得収支は海外投資などでの配当や利益、サービス収支は、海外旅行の収支知的と所有権収支などだ、最近は、貿易収支よりも所得収支の黒字幅が大きくなっている。日本はアメリカの国債をたくさん持っているので、その利子が毎年数兆円入ってくるのが大きいようだ。
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大内君
ところで貿易での稼ぎ頭はなんですか?
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山田課長
なんといっても稼ぎ頭は我々の自動車だ。かつては電子産業だったけどね、いまは苦戦している。自動車産業が、日本の稼ぎ頭で貿易黒字額の約半分を稼いでいる。国内で生産する自動車1000万台のうち約5割を輸出して稼いでいるのだよ。
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大内君
よく頑張っていますね。
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山田課長
その理由は高品質にあるのだ。世界でのイメージ調査では、質が良いと思う日本製品として日本車が挙げられていた。信頼性の高い車種・燃費のよい車種でも日本車がリードしているのだよ。
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大内君
しかし、トヨタ自動車の株価が冴えません。
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山田課長
株式市場は、理論よりも心理で動くとされている。「悲観」と「楽観」、「恐怖」と「期待」、投資家の心の振幅がマーケットを突き動かしている。リーマンショックでは、市場がパニックとなり、トヨタ自動車の株価が、企業の解散価値であるPBR1倍をあっさりと下回った。「心の揺れ」はときに極端な値動きをもたらすものだ。燃料電池車、EV自動車(Electric Vehicle)、など最先端技術車のトップランナーを走っていれば大丈夫だ。株価は後から付いてくるものだ。