ある大手自動車メーカーの営業企画部課長「山田平太郎」は、部下の相談に気軽に乗ってくれる信頼が厚い人物です、仕事は部下に任せて責任は自分がとる、部下の意見に耳を傾け、正当に評価する、成長を助ける、そんなことで頼れる上司です。その「山田課長」は部下に言います、「何事にも失敗を恐れず考えて挑戦しろ、新しいこと、難しいことに挑戦すれば失敗の数も増えるけど、人は成長する、」が口癖です。その部下に新しく配属された、「大内君」は、とても謙虚で爽やかな若者です、やはり上司に好かれるには、謙虚さと爽やかなことが大事です。「山田課長」、新人「大内君」に、毎日の経済の動きを解説しながら、グローバル時代に相応しいエリート教育の特訓中です。
AMRI研究員の経済解説
大内君
昨年の流行語に「安心してください」とありましたが、少子高齢化が進む日本では安心できません。日本の未来は大丈夫でしょうか?
山田課長
あるハーバードビジネススクールの教授は「日本が世界の中で、重要な役割を果たしていくのは間違いない」と断言していたよ。日本にはグローバルに活躍する企業が数多くあり、競争力もあるといっていたよ。自信を持たないといけないね。毎年のようにノーベル物理学賞や化学賞を受賞しているように基礎研究がしっかりしているのも日本の誇りだよ。教授にわれば、日本人の分析的な特性、几帳面な特性が強みだとしていた。少子高齢化は進むけど、残された人たちで世界で活躍する企業を育てることが、日本を救う私たちの使命だと考えているよ。
大内君
アメリカの未来はどうでしょうか?
山田課長
世界的に見て、長期的に成長する可能性が高いのはアメリカだ。日本の人口は1億2500万人から、20年後の2035年には1億1000万人まで減少すると言われているけど、アメリカは3億2000万人から、3億6000万人まで増加すると予測されているよ。若い世代が多いということは、いまだ経済成長が続いていることになるからね。
大内君
経済成長には消費の伸びが必要だというわけですね。
山田課長
その通りだ。アメリカではもっとも消費が活発な20-34歳までの人口が、現在の6500万人から、2035年までに7100万人まで増加すると予測されている。これは移民法の改正などで、高齢化対策を40年前からしてきたからだと言われている。消費に積極的な若い世代の人口が、今後20年間は増加するアメリカへの投資はもっとも有望だと思っている。現在は、利上げやドル高の影響で、企業業績が心配されているけど、人口の増加と若年世代の増加は経済成長にプラスに働くと見ているよ。
大内君
確かに、アメリカで2015年1年間に販売された新車の台数は、1747万台と過去最高を更新したとのニュースがありました。あの金融ショックからよく立ち直りましたね。私たちの会社も元気をだして進まないといけないですね。
山田課長
企業とは、「ゴーイングコンサーン(going concern)」だと言われている。「ゴーイングコンサーン」とは「継続企業」という意味だ、会社は一度作られると、人間と違って「死ぬ」ことが予定されていないものだ。一人の社員を採用すれば、その陰に家族4人がいると言われるように、倒産や廃業をしないように、半永久的に継続していくことが企業の社会的責任だと考えている。
大内君
私には家族がいませんが、そうですね。
山田課長
かつて世界で活躍した日の丸家電は苦しんでいるけど、日本にも長期にわたり成長を続けている企業はたくさんある。その代表企業は「ファナック」だ。「ファナック」は人間と協業して働くロボットを開発し人間を単純な労働から解放することを考えている優良企業だよ。他にもあるよ。20年間で配当を18倍に、株価を29倍にした医療機器メーカー「シスメックス」がある。健康診断や病院で行う検査に必要な機器や試薬を開発・販売しる会社だ。これからも高齢化社会が進むことで、世界中で需要が拡大すると予想されているよ。
大内君
「ゴーイングコンサーン(going concern)」、頭にしっかりとインプットしておきます。