ある大手自動車メーカーの営業企画部課長「山田平太郎」は、部下の相談に気軽に乗ってくれる信頼が厚い人物です、仕事は部下に任せて責任は自分がとる、部下の意見に耳を傾け、正当に評価する、成長を助ける、そんなことで頼れる上司です。その部下に新しく配属された、「大内君」は、とても謙虚で爽やかな若者です、やはり上司に好かれるには、謙虚さと爽やかなことが大事です。「山田課長」、新人「大内君」に、毎日の経済の動きを解説しながら、グローバル時代に相応しいエリート教育の特訓中です。今回は、新年会ではないけど居酒屋での雑談です。

AMRI研究員の経済解説

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大内君
課長が好きなお酒は何ですか?
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山田課長
私は信州の出身だから地元のお酒がいいね。今年は大河ドラマの「真丸」が話題となりそうだけど、信州に須坂というところがあって、そこの「遠藤酒造」の「渓流」が美味いよ。
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大内君
ところで課長、新しい年を迎えて何を感じていますか?
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山田課長
そうだね、昔の歌人「松尾芭蕉」が「奥の細道」で「月日は百代の過客にして行きかう年もまた旅人なり」とあるよ、来ては去り去っては来る年もまた同じく旅人だといった意味だと思うけど、年を越すことは、「マイル ストーン(milestone)」を一つ過ぎて、また新しい旅が始まったと感じているよ。
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大内君
旅といえば、休みは箱根や軽井沢にドライブに出かけますが、私の身近では、ガソリンが下がって110円です。お蔭でドライブに出かける回数も増えました。
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山田課長
インドや中国のような大国で自動車が爆発的に普及したことで、もうガソリンは上がるものと思っていたけどね・・・、この流れを変えたのはアメリカのシェール開発だと言われているよ。また、過去では、OPECが協調して減産していたけど、いま産油国の財政はどこも青息吐息で、誰かに減産してほしいけど、自分はやりたくないというよ。サウジアラビアも自国のシェア確保を優先していているそうだ。結束ができないようだ。
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大内君
そうなのですか。
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山田課長
これを「パラダイム転換」と呼ぶのは大げさかもしないけど、この世の中「当たり前」だと思ってきたことが、突然に変わってしまうことはあるものだ。その昔、エッソのTVコマーシャルに「車はガソリンで走るのです」とあったがいまでは懐かしい。いまは、世界の自動車メーカーが、ハイブリッド車( HV、PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった次世代自動車の開発にしのぎを削っている、将来は、新技術がもたらす「パラダイムシフト」が起きるかもしれない。「車は水素で走るのです」、こんなコマーシャルもありそうだよ。「パラダイムシフト」といえば、最近では、「フィンテック革命」が話題となっているよ。
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大内君
またまた新語ですね、「フィンテック」とは?
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山田課長
「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語だよ。例えばこんなサービスがでたようだよ、指紋を認証すれば決済ができるサービスだ。店頭の指紋認証装置に指を置けば、人工知能を使って膨大な量の顧客データの中から瞬時に本人であることを確認し決済できるというよ。これも、一つの「パラダイムシフト」と言えるかも知れない。
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大内君
なんですか「パラダイム」とは?
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山田課長
「パラダイム(paradigm)」とは、科学の分野で使用されているようだ、一般の人が日常では、それほど馴染みのある言葉ではないね。「パラダイムシフト( Paradigm shift)」とは、これまで当然のことと考えられていた常識が、革命的に変化することで使われている。似たような単語に、「revolution」があったね、大内君の好きな渡辺美里の曲「My Revolution」は、明日を変えてゆく、自分を変えてゆくという意味をもって、自分の大改革、を意味していたのかな。
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大内君
ところで、中国が景気減速と毎日のように新聞にあります。
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山田課長
昨年は、日本も世界も中国に振り回された。思い出しますのが、2015年8月24日、ほんの数時間でNYダウが1000ドル超も暴落したことがあった、「8・24ショック」、または「チャイナショック」と呼ばれたものだ。世界経済をけん引する機関車は中国だと威勢が良かったけど、今や世界の波乱要因となった。本当に「新常態」へのソフトランディングは可能なのだろうか疑問視されているよ。
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大内君
そんな世界の景気が良くないのにアメリカは金利を引き上げましたね。
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山田課長
昨年末に利上げに踏み切った、利上げは経済が景気後退から回復している証拠であるからだと、説明されていた。
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大内君
誰が決めているのですか?
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山田課長
それは、銀行のための銀行といわれる中央銀行だ、日本では「日本銀行」だよ。アメリカの日銀にあたる中央銀行は「FRB」と言うのだ。正式には「Federal Reserve Board」、「連邦準備制度理事会」と呼ばれている。こちらも押さえておくようにしたいね。
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大内君
いまいち、金融政策は分かりません。難しいです。
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山田課長
世界に数ある中央銀行ごとにその目的は異なっている。たとえば、ECB(欧州中央銀行:European Central Bank)は、もっとも中央銀行らしい中央銀行だと言われているよ。「物価の安定」のみを目標としているからだ。それに対し、FRBは「物価」の安定と「雇用」の最大化を目標としている。FRBの政策担当者の強い思いには、歴史的な金融危機であった「1929年の大恐慌」を起こさない、というトラウマに近いものがあると言われている。そしてその政策を決めている機関が、通称「FOMC」と呼ばれるものだ、「FOMC」とは、正式には「Federal Open Market Committee」、日本語では「連邦公開市場委員会」と訳されているよ。
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大内君
うーん、居酒屋での話としてはかなり難しかったです。