一度か二度訪問したことのあるお客様をPipeline(案件保有管理DB)に入れるのは止めて”温める”という別枠を作った営業をしょう!!という話をします。
新規顧客開拓の営業にとって、成約可能性がある案件を持っていない時ほど、、辛いものはありません。そのような状態が続くとドンドン落ち込んでいきます。焦って成約可能案件探しをする前に今は検討段階にはないお客様をじゅっくり温める別枠作業に力をいれることで”落ち込む心"に”リズム感”をおこして欲しいのです。
新規顧客開拓型営業の活動の中に、
1.見込み客の開拓
1)訪問する段階ではないが温めておきたい活動
2)具体的な提案に育てたい活動
2.クロージングに向かった活動
があります。
そこでまず1-1)の訪問する段階ではない顧客層へのアプローチでリズム感を醸成していく方法について書きます。
扱っている製品・サービスによりますが通常営業は向こう3ヶ月、6ヶ月内での成約・納品を目指す訳ですから会社は目先の案件保有量(Pipeline)と進捗状況を管理することになります。しかし実態として向こう3、6ヶ月内に勝ち負けが付く案件が少ない又は無い、、という営業を結構な数抱えているのが現状ではないでしょうか?
会社からPipelineが少ない!、進捗率データの信ぴょう性が低い!と指摘されるので、営業は出来るだけ多くの案件を登録しがちです。しかし何故クローズできないのだ?と言われるのでリスクヘッジして低い進捗率で入力しておく訳です。結果Pipelineの中はゴミの山、、実はこういった嘘の上塗りが営業のリズム感を狂わしているのが私のポイントなのです。思い切って捨ててメリハリを付けてしまったら人間の心はスッキリして変わるものです。
狙いたい顧客なんだけど今はPipelineに入れる段階ではない顧客は入れず”訪問せずにじっくりお客様との関係作りをする”別枠をつくるのです。この層のお客様はまだ御社の製品・サービスを検討したい、、という段階にない訳ですから”売り込み”をしても意味がないのです。相手にとっても迷惑なんです。
では”売り込み”をせずに何をするのか?
お客様の環境を想像して仮説を立てて役に立つ,ただし決して自社製品・サービスのPRではない”お役立ち情報”を定期的に郵送するのです。自社の製品紹介資料を送ってはいけないのです。メールではなく郵送することに意味があります。お客様が興味を示して次回からメールに添付して欲しいと要望されたらメールに変えたら良いと思います。継続は力です。継続することにより、迷惑訪問を避けてくれ役立つ情報をくれる貴方に対する親近感が高まります。いずれ検討段階になった時に貴方を思い出してくれ声が掛かることが期待されます。営業マンの心の躍動感とかリズム感はこんなところから宿るものだと私は思うのです。
いつお客さんから声がかかるか?分からないことにこんな地道なことをする意味が何処にあるんですか? 疑問が出るでしょう。
ここ5年外資系IT企業の営業をみて感じたことは”なんと平べったい提案書か!”表紙の宛名を変えればどこにも持っていける内容。これじゃ売れる訳がないじゃない?という驚きでした。
お客様現状分析、それが何故どう変わるか?の突っ込み説明が甘いことです。機械メーカーの場合は5円、10円の加工コストが削減できることを競争する営業です。複雑なIT技術の組み合わせ提案のIT業界の営業は機械メーカー以上突っ込む必要あるでしょう。
もし複雑なオペレーションこそCloudで吸収できます!!と訴えたい方はCloudが吸収してくれるトラブル・対処運用コストなどを現場感覚で克明に説明する必要があります。
お客様に役立つ情報を届ける、、、ということはお客様の実態を深く想像しないとできないことです。この努力をすることによって提案書のレベルが格段と顧客志向に変わってくる所が大いなるメリットだと思うのです。
“訪問営業しないで売れる営業に変わる本”を書いた菊原智明さん(高崎在住)に8月会って勉強して来ました。私の方から面談をお願いしたんです。
菊原さんの主戦場は住宅販売の分野で私の畑とは違う、、と思い込んでの面談でした。もっと早く菊原さんに会って勉強すべきでした。ITや工作機械提案営業の世界でも充分応用できる手法だと思いました。
菊原さんは入社して7年間典型的なダメ営業でクビ寸前だったそうです。今日もダメだったな、夜の9時近く深いため息をつきながら会社に戻る足取りは重い。今日は上司になんて言い訳をしようか、、と。訪問しても訪問しても何の収穫もなくお客様から嫌われる日々が続き訪問恐怖症になってしまい、ただ街の中を徘徊して苦しむ毎日。話を聞いてもらえるお客さんをまったく探せない状態が続いていたそうです。
転機は社内で配られていた「お客様の失敗例」がヒントになって「お役立ち情報」として編集した営業レターを郵送し始めたことだったのです。売り込みのための訪問はキッパリやめ「手紙」でお客様にアプローチするようスタイルを変えたのです。その結果ダメ営業マン時代実質年間2~3件しかなかった営業案件が10倍近くに増え、最終的には商談したお客様からの成約率は90%となっていきなりトップセールスになったのです。
ITの世界は日進月歩の技術革新で、導入するシステムは複数ベンダーから調達したものをインテグレートして使うことが当たり前となった今日、予期せぬトラブルが起こります。どのようなトラブルや困難なことが起こり得るか?その際の対処方法、Cloudにしたらどうなるか?やってはいけないこと等「お役立ち情報」を営業レターにすることを考えたらどうでしょうか。いっぺんには出さずシリーズ化することです。菊原さんの”訪問営業しないで売れる営業に変わる本”に詳細書いてあります。参考にし応用していただきたいものです。
こうすることによって自らを心理的にリズムに乗せていくのです。そうすれば目先クローズ案件がなくてもジタバタせずじっくり前に向かって行く強い精神状態が作れるのです。
・赤字の製造業を買収してことごとく短期間で黒字化に変身させてしまう日本電産永守オーナが、最初に手を入れるのは買収した工場の下駄箱の整理・整頓です。私も前職の時お客さんの工場を沢山見てそのことを肌で知りました。
営業も同じで営業の下駄箱=Pipelineの整理整頓から次第に躍動感が沸いてくるのだと確信します。