先日あるIT企業の営業部長さんから部下とのコミュニケーションの悩みをお聞きしました。
気付いてくれるのを待っているんだけれども、これ以上待っていたら勝機を逸してしまう、、、こんな時どうしたら良いのでしょうか?、、と意見を求められました。

数字責任を持っている営業組織の上層部は悠長に構えていたら自分の身が持ちません。そこが部下の成長支援とのジレンマなのです。今回は部下とのコミュニケーション、指導の仕方について,
・学生の就職支援をしている立場から(就職塾向日葵の上野さん)
・ビジネスマンのコーチングをしている立場から(JEMCOコンサルタントの永野さん)
お二人のお話を引用させていただきながら考えてみたいと思います。
北海道で学生の就職支援をやっている就職塾向日葵の上野香織さんによれば、
(以下親方とは上司と置き換えてください)かつて、親方の元で修行をするということは、親方の言うことは全て従順にたとえ目的がわからなくても、不便を感じても盲目的に従うものでした、、、と。それが、一人前になるためのステップであった。しかし、今の若者は、半人前であっても親方の指導を全て受け入れるとは限らない。一定の判断基準に基づき、親方の言うことに従うかどうかは、取捨選択した上で決める。その判断基準が、浅い経験や、その日の気分によることもあるが、間違っているかも知れないということにはとうてい考えは及ばない。
価値観の違い、というべきでしょうか。この価値観の違いを親方が受け入れないと若者はいとも簡単に離職してしまう。若者の離職を防ぐためには、親方が修行をする時代なのだ、ということなのです。上司が「この書類、昼までにできるかな」と新人に頼み、なかなか書類を持ってこないので昼前に新人のところに行くと、新人「まだやっていないです、昼までにはできなそうだなと思ったので。」というやりとりが職場で繰り広げられるているのです。上司は「業務命令」のつもりで言ったのに新人は「昼までにできるかの可否のお伺い」だと認識していた、というすれ違いです。そこで「やれと言っただろう!」と怒ってしまったら新人はうつになって休職や離職をしてしまうリスクを抱える。ここで、上司がすべき修行は、指示が指示として伝わるよう、自分の言葉づかいを改める、ということだと。
今の時代の学生を知り尽くした示唆に富む話をお聞きしました。

一方、ビジネスマンの自立性を引き出すコーチングをされたJEMCOの永野さんは以下のように指摘されています。いつも同じミスをする、やる気があるのか?と怒鳴りたくなるような人がいる。しかし、実はやる気がないんじゃなくて、失われているのは勇気なのであり
立ち向かっていく勇気が足りないのだ。
人は皆成長する意欲と力を必ず持っているのです、、、と。
部下との関係が上下関係になりすぎるといとも簡単に部下の勇気をくじくよなことが起きてしまう。
部下を成長させる、、という意識でいると
出来るようにしてあげよう、という気持ちが⇒失敗はさせられない、、、という気持ちにすり替わって何でも教えて自分の言うとおりにさせようとしてしまう。
言われたことをやっただけの部下には何も残っていない。
相手の成長を願って教えたことが
逆に部下が失敗から学ぶという成長の機会を奪ってしまうことになる、、、と。
教えない、指示しない効果は絶大だ!
人は成長する意欲と力を必ず持っていることを信じきれるかどうかなんだと、コーチングを回顧されてます。
正にジレンマです!!営業ノルマを持ち競合厳しい商談を展開している日々の活動の中で、上司である営業マネジャーはこのような対応が出来るでしょうか?
簡単な話ではありません。大きな負担だと思います。
我慢できない人は、えい!面倒だ!と営業を連れてお客さんに行き、模範と称して自分で対処してしまうでしょう。
著者なんか正にそういうタイプでした。
しかしそれでは部下に何も身に付かない、、ということなのです。
足元の業績責任と部下の成長支援との狭間でどうバランスを取ればいいのでしょうか?
大変難しいテーマです。若い世代は昔とまるっきり違う!!という認識が必要です。若い世代の部下を持つ親方(上司)は
・指示が指示と伝わる会話の仕方
・叱る際の場所、タイミング、次に繋がる前向きな激励の仕方・人は成長する意欲と力を必ず持っていることを信じて、
 教えすぎない、失敗から学ぶ機会を奪わない忍耐力正に親方(上司)に修行が求められている時代であると言えます。
叱り方有償セミナー・トレーニングに多くの企業から管理職が送り込まれているようです。

レジェンド営業塾

001話で書きましたように、”やらされている”から⇒心が踊って”自らの意思でやる”に変わる環境造りと場の提供が一番の原点ではないでしょうか?

営業部門が自転車操業であったら成長機会の場を与える余裕などありません。 
その為には売ってなんぼの世界から売ってから稼ぐ=ストック収入を確保する、つまり顧客の生涯価値を高め続ける経営が不可欠なのです。
“出来る営業も出来ない営業も実は紙一重”を標榜する筆者にとっては、営業マンの心が躍動するよう導くことが紙一重の根本だと考えており追求しているテーマです。営業なんていうのは、表面に出ようが内に秘めていようが心が躍っていないと前に進まない仕事です。競合に勝って契約に漕ぎ着けるまで幾多の障壁を乗り越えなくてはならないからです。また営業マン一人で出来る可能限界は20%と言われています。社内の協力・支援を引き出すことが不可欠なんです。社内関係部門はよく見ているもので心が躍っている営業を支援したくなるものなんです。だから人の力を使いながら自分をリズム感に乗せる必要があるんです。