017話で指揮者は楽譜を読み込んで作曲家の感情を読み取りオーケストラに伝え表現することが仕事である。
一方営業は中期経営計画書を読みその計画を実行・実現する事業部門の動き・情報を収集して商談に活かす、、、ことについて書きました。
3月24日日経新聞に海外投資家が日本企業の中期経営計画を重視するように変化してきたことを報道してます。これまでは参考程度であり、数値計画は絵に描いた餅となるケースが多かったが中期経営計画の中身と意味合いが変わってきた、、と。
自己資本利益率(ROE)目標に加え具体的行動を伴う企業が出てきたからです。また公表されると内容次第で株価が上がる傾向が出てきたのです。
018話は日本の代表的グローバル企業である日立製作所を例に中期経営計画書の追いかけ方を説明したいと思います。
中期経営計画と進捗状況(2014年3月期~2016年3月期)について公開してます。http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2014/05/f_0512apre.pdf
中期経営計画実現に向けたコスト構造の改革と7事業の戦略についてかなり詳細に実行戦略が書かれていますので勉強必須です。http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2014/06/0612/20140612_00_release.pdf
更に以下のようなフォローがされていることに注目したいです。3月27日の日経で中村CFOが2017年3月期から始まる次期中期経営計画のことに触れROEを重視すべき指標に採用する、、と述べています。
そして来期2016年3月期は目標とする売上高営業利益率7%超は構造改革を積み重ね必ず達成し来期のROEは12%程度まで高められるだろう、、と述べています。
一度発表した中期経営計画に対して企業が中間進捗状況を公表したりCFOが次期計画で目指す方向までフォローする時代になりました。
企業はドンドン変化していきますから継続して追いかけていくことが大事なのです。日経新聞を細かにチェックしていると中期経営計画を公表する企業が増えていることに気づきます。
従来のように絵に描いた餅ではなくなってきているのです。グローバルに競争して資金を呼び込むには世界の指標である自己資本利益率(ROE)を8%以上にする経営努力が不可欠な時代となりました。
このような日本企業の変化がアベノミクス効果の一つなんだと思います。
企業が何処にお金を掛けるか?
構造改革を断行して溜めこんだ内部留保資金を成長戦略に向けて投資して収益拡大を図る訳ですから、
構造改革に寄与するか?ROE向上に貢献する所にお金を掛ける、、ことは自明です。
提案サイドは自身の提案が企業目標の何処の何にどう寄与するのか?
真剣にポジショニングしてお客様が気が付いていないアイデアやヒントを提案することが必要なんだと思います。
お客様はどんな営業を評価するのか?生まれながら親しみやすい/可愛い、、、そんな要素を持つ営業はお客様から敬遠されず得であることは間違いありません。
残念ながらそういった要素を持ち合わせていない場合どうするか?
一つの打開策が、自分が担当させてもらっている企業の中身を誰よりも深く詳しく勉強することではないでしょうか?
それを武器に更に突っ込んだ質問をして提案に結び付ける努力をする人ではないか?と思うのです。お客様は自分の会社をよく勉強していて更に深く知りたいという姿勢を持った営業を悪く思うはずがありません。お客様の役職が偉くなればなるほどそういうものです。
ただしウチの会社の営業もこのくらい熱心だったらいいな!!と思わせる程勉強する、、というレベルを意味してます。お客様はヒントをくれる営業やベンダーを大事にしてくれると思います。
日本にこだわらない日立の覚悟 地域・事業分野に応じて本社機能を”移管”
SankeiBiz 2015/3/25 08:15
日立製作所が初公開した英国向け高速鉄道車両=山口県下松市の同社笠戸事業所
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大英博物館やセントポール大聖堂からほど近い英ロンドンのオフィスビル。現代的なレンガ造り風のビルの7階に、日立製作所の鉄道事業を束ねる「日立レールヨーロッパ」がある。鉄道事業のグローバル最高経営責任者(CEO)、アリステア・ドーマーは飛行機で片道約2時間という地の利を生かし、昨年秋から毎週のようにイタリアを訪れた。伊防衛・航空大手フィンメカニカの鉄道関連事業を買収するためだ。
イタリアで150年余りの歴史を持つフィンメカニカの鉄道関連事業買収には日立のほか中国企業も名乗りを上げ、激しい買収合戦となった。2014年4月に国内外の鉄道事業の本社機能をロンドンに移管した日立は、交渉の全権をドーマーに委ねた。日本の日立本社が指揮を執る従来の態勢では、意思決定のスピード感や物理的な距離の溝は埋められない。日立は本社が全ての意思決定を行う手法を転換し、地域や事業分野に応じて本社機能を”移管”しつつある。
09年3月期決算では、国内製造業では過去最悪の7873億円という巨額最終赤字を計上した日立は、いまや電機大手で初の売上高10兆円を視野にいれる。その実現の鍵となったのが、社長の東原敏昭が掲げる「自律分散型グローバル経営」だ。
2月24日、買収合意後の会見を終えたドーマーは、伊経済開発相のフェデリカ・グイディを中央に、フィンメカニカCEOのマウロ・モレッティと笑顔で握手を交わした。週を空けずにフィンメカニカ幹部との交渉を重ね、密接な関係を作り上げた成果だ。日立会長兼CEOの中西宏明は「世界市場で受注をとれるようになった」と高く評価する。
自律分散型グローバル経営は、海外事業を今後の成長の源とする日立の経営戦略の柱の一つだ。プラント事業では昨年、シンガポールに東南アジア事業を統括する「日立インフラシステムアジア」を新設した。産業プラントやエネルギー、水処理などアジアのインフラ関連事業は、同社が取り仕切る形だ。