2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が7月3日代々木体育館で開催されたリオデジャネイロ五輪代表選手団の壮行会で大事なことを見逃さなかった!!
壮行会で壇上に選手ら約300人が登壇。森さんは、直前の国歌斉唱時の様子を振り返って「どうしてみんなそろって国歌を歌わないのでしょうか」と問いかけ、サッカー女子の澤穂希さんや、ラグビーの五郎丸歩選手が君が代を歌い、その様子を見て国民が感動した、と述べた。「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」と来賓挨拶で選手団に訴えたいうニュースを見て”あっぱれだ”と共感しました。
048話はこのことについて同じ思いを抱いていたであろう音楽家のエピソードを書きます。
通称「炎のコバケン」こと指揮者の小林研一郎さんは日ごろ日本人の奥ゆかしさやシャイな所に思う所があったんでしょう。
どんなに感動的な演奏をしても日本の聴衆は大きな拍手はするが、欧米では当たり前のスタンディング゙オベーションはしない!!
あれは確か2008年3月のこと。サントリーホールで小林研一郎さん指揮、日本フィルによるベルリオーズの幻想交響曲の時でした。
第5楽章(魔女の夜宴の夢)が最高潮に達して管楽器の重厚なハーモニーで終了した後、聴衆に向かって、皆さま、もう一度第5楽章のXXX小節からやり直しますから、今度は立っ上がって拍手してください!!
と聴衆に促したのです。聴衆はすごく驚き、もう一度聴けると喜びました。
音が重厚に重なり合って最高潮にして終了すると今度は1階,2階席聴衆全員がワオーと立ち上がって拍手をしました。スタンディングオベーションの現場演習だったのです。
これで終わりと思ったのですが、何とコバケンさんは、「もう一度やります!!」と言ってリピートしたのでした。
場内は最高に盛り上がりました。コバケンさんは、日本人はシャイでお行儀良すぎます、だからスタンディングオベーションを覚えてください、、、などとは一言も言いませんでした。
しかし本音は、そうだったに違いありません。
英国で毎年夏に8週間Royal Albert Hall で行われるPromenade Concerts(通称プロムス)を聴きました。
最後に英国の代表的作曲家であるエルガーの「威風堂々」を演奏した後、事実上の国家と言われるゴッド・セイウ”・ザ・クイーン(記憶違いかも知れない)を聴衆全員立って大きな声で歌った場面に遭遇し身震いしました。そのとき日本人もこうなりたいな、、と思ったことを忘れることができないのです。
EU離脱を選択して国が二分化してしまった今年のBBC「プロムス」は果たして例年通り、
威風堂々、そして国家の大合唱が起こるのか?興味深い所です。
コバケンさんによる現場演習聴衆全員総立ち以降、著者が聴いたコンサートに中で、そういうシーンは起こりませんでした。
しかし、2014年松本での小澤征爾さん指揮サイトウ・キネンで奇跡が起こりました。
小澤サイトウ・キネン2度目のベルリオーズ「幻想交響曲」で1階+2階聴衆全員総立ちのスタンディングオベーションが成立したのでした。著者の人生で初めての経験でした。それだけ迫力のある演奏だったのです。
昨年国民を感動させたラグビーワールドカップでの日本チームの姿も思い出します。
ラグビーワールドカップ日本代表の国歌斉唱の場面で母国代表を選ばず日本を選んだ外国人選手が日本人選手以上に大きな声で君が代を熱唱するシーンをご覧になりましたよね。筆者はこのシーンを見て驚き感激しました。
外人の方が日本代表となって戦う喜びを表に出しているではないですか!!
何故彼らが君が代を大きな声で歌ってくれるのか?その背景は何なのか?
何らかの縁で日本に関係したラガーマンは日本という国と日本人が大好きになり母国代表を蹴って日本代表の道を選んだそうです。
みんなでローマ字で書かれた(英語でその意味を開設した)ボードで君が代を練習している映像を見ました。
外人の方が日本代表となって戦う喜びを表に出しているように見えました。
一方全員日本人のサッカー日本代表は国際試合での国歌斉唱の場面でどうなのか?
サッカー日本代表は大きく口を空けて国歌を歌っている選手は明らかに少ないです。
こんなシーンを見た海外展開している企業経営者はどう感じたでしょうか?
恐らく自社の海外事業の現地化推進について考えさせられたものと推察するのです。君が代を練習して日の丸のために身体を張る外国人の可能性を再認識されたものと思うのです。
5年半の交渉を経て大筋合意したTPPによって日本社会を覆う「内ごもり」を破るカギとなるかも知れない。TPPによって人の交流と域内分業、投資で互いに相手を必要とする依存関係が深まると当時日経新聞が指摘しています。
人口減少が進む日本にとって相互依存関係を大事にする必要がある訳でラグビー日本代表が日本の進むべき方向を示唆しているような気がしてなりません。
日本は国内需要では成長しない訳ですから外人の感覚を活かしてグローバルな市場で一緒になってビジネスを開拓していく時代です。
そんな時代にワールドカップ日本代表の外国人選手の姿は大いに参考になるしシャイな日本人は変わる必要があるのではないでしょうか!!
外国人と日本人がミックスで仕事できる時代の若い人が羨ましいです。
そんなことで森さんが選手団に苦言を呈し改善をお願いしたことは、まさに“あっぱれ”だと思うのです。